RPAコラム

さまざまな課題に直面する流通・小売業。RPAはその救世主となるか~後編~

2018.12.19

RPAはどのようなことができるのか

流通・小売業におけるRPAの活用について考えるコラム。前編では、RPAに向いている作業・向いていない作業、RPAの導入に失敗しないためのコツ、RPA導入の成否を分けるポイントなどについて紹介をしました。後編では、実際にどのような場面での活用が期待できるのか、具体的なRPAの適用範囲や適用業務について紹介していきましょう。

まずは、「ホームページに掲載されている店舗情報を取得(コピーアンドペースト)して、表計算ソフトへと保存し、自動で一覧表を作成する」という作業を自動化する例を見ながら紹介してみたいと思います。より現実的な業務に応用するとすれば、「社内の基幹システムの情報をWeb EDIの画面に転記する」、「メールで受け取った発注書の情報を販売管理システムへと入力する」といった場面に置きかえてもいいでしょう。

RPA適用業務

RPA適用業務

「ホームページに掲載されている店舗情報を取得(コピーアンドペースト)して、表計算ソフトへと保存して、自動で一覧表を作成する」という作業は、一見するととても簡単に見えるかもしれません。実際、1店舗分のデータを処理するだけであれば、大卒の新入社員が研修で習うレベルのPCや表計算ソフトの取り扱いができれば、なんてことはない作業です。

しかし、数十件、数百件、数千件という店舗の情報を処理するとなれば、作業終了の見込み時間は想像が付かず、作業者への肉体的かつ精神的なストレスも非常に大きなものとなるでしょう。

一方、RPAを利用すれば、このような単純作業の繰り返しもクリック一つで完了できるようになります。担当者はリストに掲載する店舗の選定に集中すれば済み、より確度の高いリストを作成できるようになるでしょう。もちろん、その品質についてはRPAではなく、作業担当者の能力が問われる問題ですが、少なくとも作業時間は大幅に短縮されます。さらに、操作ミスが発生したり肉体的に大きな負担がかかったりするリスクも解消されるでしょう。

ただし、RPAの振る舞いによって、数千件でも短時間で処理できる場合もあれば、人が作業するのとあまり変わらない作業時間がかかる場合があります。要は、RPAにおいては必ずしも「自動化イコール短時間処理」ではないことは理解しておいてください。

もちろん、RPAはより複雑な業務にも対応できます。表計算ソフトのマクロを自動実行し、マクロの終了後にさらに別の作業を自動実行するということもできますので、誤解を恐れずに言えば、PCで作業ができることならRPAで自動化できるといっても過言ではありません。もちろん、自動化するロボットを作成し、管理する分の手間とコストもかかりますので、たとえば1年に1回しか実施しない作業を自動化しても効果的とは言えません。

要するに、個々の業務に関して、「自動化できる作業」と「(自動化できない)人が介在するべき作業」に分類し、その上でRPAの導入が有効か否かを見極める必要があります。

RPA導入の事例を見ると、人事業務や経理財務業務への適用が目立ちますが、これまで手作業で実行されてきた業務が、RPAを導入するだけでも2割から3割程度自動化され、AIなどの先進的な技術と組み合わせれば、約半分の業務が自動化できるとも言われています。

では、流通業界におけるRPAの業務適用例を見てみましょう。

  • 表計算ソフトで管理している商品の在庫数が、しきい値を下回ると担当者へ自動でメール送信
  • 基幹システムから表計算ソフトへとデータを抽出して、Web EDIへ転記する業務の自動化
  • 輸出先の国ごとに記載項目の異なる船積書類を、表計算ソフトのリストから自動で転記
  • 流通BMSより受け取ったデータを基幹システムへと取り込む形式へと自動で加工
  • 基幹システムが出力した出荷データを、取引先によって異なる流通BMSやJCA手順のデータ形式へと自動で加工・登録
  • 様式が異なる注文書の識別・転記を自動化し、転記ミスを撲滅

これらのように、すでにRPAへの取り組みは広がっており、手作業に依存していた伝票処理の自動化をはじめ、さまざまな業務への応用が期待されています。最近ではシステム導入総額の1/2、最大50万円までが補助される「IT導入補助金制度」を利用して、RPAを導入する中小企業や小規模事業者も見られるようになってきました。

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