RPAコラム

RPAは中堅・中小企業の救世主となるのか~後編~

2019.02.21

「業務を正しく理解・分析できる」人材がRPAの導入担当者に向いている理由

中堅・中小企業におけるRPAの導入について考えるコラム。前編では、ユーザー部門が主導でRPA導入を進めるケースが多い理由、そして、どのような人材がRPAの導入担当者に向いているのかといった点について考えてみました。後編では、ユーザー部門が主導でRPAを導入する際のリスクとその解消方法について紹介したいと思いますが、その前に、前編の最後でも触れました「業務を正しく理解・分析できる」人材がRPAの導入担当者に向いている理由について、答え合わせをしたいと思います。

前編でも話をしましたが、RPAは業務を自動化するのだから「実際に作業を担当している」、もしくは「業務手順を知っている」担当者がRPAの導入担当に向いていると考える方も少なくないかと思います。

しかし、現場で業務に携わっていればいるほど、現状の作業手順にこだわり、非効率的な作業や無駄かもしれない作業もそのまま自動化してしまう場合があります。それでも、手作業で行っていた作業が自動化されるのだから、それだけで十分だというのはあまりにも短絡的です。

非効率な手順や手法が、自動化という名のもとにそのまま潜在化して残ってしまえば、RPAの導入効果が半減してしまい、どのような悪影響をおよぼすかわからないまま、それを改善する機会さえも失ってしまうことになります。

そのため、RPAを導入する際には、既存の業務フローを冷静に分析して、無駄な手順やルールを洗い出し、合理化を図る必要があります。それができてこそ、RPAの導入効果を最大化することができます。そのため理想を言えば、導入担当者には業務内容をヒアリングして可視化できる能力も求められます。

実際に作業を担当している担当者よりも、業務を正しく理解・分析できる人材がRPAの導入担当に向いている理由がおわかりいただけましたでしょうか。

野良ロボットは、まるで時限爆弾

ユーザー部門が主導でRPAを導入する際のリスク要因の1つのとして、「野良ロボット」の増殖によるリスクも避けて通ることはできない重要なポイントとなります。

野良ロボットについてはすでにさまざまな場面で説明されているので、ここでの詳細な説明は省きますが、詳しくない方でも「野良」という言葉の響きからも想像できるように、しつけの行き届いたロボットと対局するもので、自由気ままに外や家の中をうろつき、悪意があるかないかは別にしても、悪さを働きかねない管理されていないロボットのことを示します。

仕事ができれば「野良」でも良しと考える方もいるかもしれません。しかし、野良ロボットを放っておけば業務がブラックボックス化してしまったり、属人化してしまったり、さらには不正やリスクが潜在化してしまいかねません。さらに、時間が経過するにつれて、だれが何のために作ったのかわからないロボットが増殖しはじめ、トラブルが発生しても責任の所在があいまいになってしまうこともあります。

また、導入時は問題がないように見えても、RPAソフトやOSのバージョンアップや自動化している業務システムやアプリケーションの変更などにより、トラブルやバグが発生する可能性もあります。その際、ユーザー部門内だけで対応できればまだ「救われますが、情報システム部門にとどまらず、全社的な業務にもさまざまな影響が出始める可能性もあります。少し大げさな言い方になるかもしれませんが、野良ロボットを放置することはいつ爆発するかわからない時限爆弾を抱えることになりかねないのです。

管理ツールの活用や経験豊富なベンダーによるサポートも有用

では、どのように「野良ロボット」が発生しないようにすれば良いのか。ユーザー部門主導といえども、やはり情報システム部門や経営管理部門との連携を図りながら管理・運用ルールや管理体制を設けて、野良ロボットが発生していないかどうかを監視しながら利用を進めて行くのが有効な手段となります。

人手が足りず、業務の効率化と自動化を目指してRPAを導入するのに、管理体制や他の部門との連携が必要で、野良ロボットも監視しなければならないとなれば、かえって手間が増えると考える方もいるかもしれません。しかし。RPAの管理ツールを上手く活用したり、運用体制の確立を経験豊富なベンダーなどにサポートしてもらったりすれば、このような問題の解消は可能で、早期に利用環境を整備できるのではないでしょうか。

たとえば管理ツールを利用すれば、一元的なロボット実行のスケジューリングや制御、管理が可能となります。また、ロボットの実行結果やステータス確認をはじめ、シナリオの実施状況や稼働率を監視・表示したり、シナリオ実行のエラー情報を通知する機能を備えたりしているツールもあります。

管理体制が確立されていなければ、野良ロボットによる問題はユーザー部門主導であったとしても、情報システム部門主導であったとしても、発生するリスクは変わりないでしょう。ただし、いわゆるシステムの導入・運用に関する知見やノウハウがほとんどないユーザー部門が主導でRPAを導入する場合は、管理体制の確立や他部門との連携をなおざりにしてしまう傾向があり、野良ロボットを増殖させることにつながりかねません。RPAは便利で手軽に導入ができるからこそ、そのような状況が産まれやすいのです。

野良ロボットに限りませんが、トラブルが発生してからでは取り返しが付かないこともあります。RPAの利用が部内や社内に広がり、いずれは管理しなければならない状況が発生するのであれば、最初から手を打っておくべきです。管理ツールへの投資も含め長期的な視野でRPAの導入効果やコストパフォーマンスを試算するのが賢明だと言えるでしょう。

導入に関するお問合せ

WinActor導入に関するご質問、お問合せは以下で承っております。
疑問点などがございましたら、お気軽にお問合せ下さい。