RPAコラム

RPAは中堅・中小企業の救世主となるのか~前編~

2019.02.14

RPAはユーザー部門主導で導入可能

今回のコラムでは、中堅・中小企業におけるRPAの導入について、2回に分けて考えてみたいと思います。

これまで手作業にて実施していた作業を自動化・効率化するツールとして活用が進んでいるRPA。まだ普及期であることもあり、大企業における活用事例が目立つのが現状ですが、その詳細を精査してみると対象となる業務は中堅・中小企業においても応用可能な例は少なくありません。

一方、別の角度から活用事例を分析すると、いわゆる情報システム部門が舵を取る形ではなく、経営企画部門やユーザー部門が主導となってRPAを導入している例も少なからず見られます。実際、弊社がWinActorの導入を支援したお客様にも、ユーザー部門が主導で導入を成功させた事例もあります。

ではなぜ、ユーザー部門が主導で導入しているケースが見られるのか。その背景には、大きく2つの要因が考えられます。

要因その1

1つ目の要因としては、情報システム部門が多忙でRPA導入の実務に携わる余裕がないという状況が考えられます。

その背景には、2018年に注目された「ひとり情シス」問題があるのではないでしょうか。「ひとり情シス」とはその言葉の表記の通り、社内に情報システム専任者が一人しかいない状況、もしくは担当者自体を示した言葉で、清水博『ひとり情シス』(東洋経済新報社、2018/7/27)によれば、兼任担当者のみの「ゼロ情シス」状態の企業も少なくないとされています。

実際、同書によれば、100名から1,000名の企業を対象としたアンケート調査で、「ひとり情シス」の企業が14%、「ゼロ情シス」の企業が13%、合わせると全体の1/3におよぶ企業が「ひとり情シス」の状況に置かれているとされています。

ここからは筆者の経験も交えた推測となりますが、「ひとり情シス」は基幹システムの運用や刷新、システムインフラの運用・整備、社内ユーザーのヘルプデスク業務への対応など多忙を極めており、RPAの導入にまで手が回らないというのが実状なのではないでしょうか。導入の実務に携わるどころか、検討する余裕や時間もなく、やむを得ずユーザー部門が主導で導入を進めるというケースも少なくないと捉えています。

要因その2

2つ目の要因としては、RPAはスタンドアロンパソコンで完結して利用できることが多く、導入やシナリオの作成が容易。既存の社内システムインフラやサーバー、データベース、アプリケーションへの追加設定や変更などが不要なことが挙げられます。

誤解を恐れずに言えば、表計算ソフトでマクロを利用するような感覚でも利用できるため、情報システム担当者へ正式な許可を取らず“お試し”で利用してみたら便利だった。そのままの勢いで、適用業務を拡大してしまうというケースが考えられます。

もちろん、マクロを利用する場合でも、情報システム部門(担当者)がすべてを把握・管理している企業もあるかと思いますが、「ひとり情シス」な企業であれば互いに見ない振りをしてしまうということもあるかもしれません。

また、現場の実務を知り尽くしているユーザー部門が直接、RPAのシナリオを作成したほうが、「ひとり情シス」の管理者がかかわるよりも、短期的に導入ができ、成果がすぐに享受しやすいことも、ユーザー部門が主導で導入が進む要因だと考えられます。

RPA導入の担当者をだれにするのか

ユーザー部門が主導でRPAを導入する際のポイントはいくつかあると思いますが、筆者は担当者をだれにするかが最も重要なポイントだと捉えています。限られた条件・人材の中から担当者を決めなくてはならないので、判断が非常に難しい事柄でもあります。

当然、ご担当となる方にプログラミングなどのエンジニアリング的な経験や素養はあるに越したことはありませんが、実際プログラミング作業をするわけではなく、論理的に業務手順を捉えるのにプログラミングの経験が役立つということで、そのような経験がなくとも論理的に業務を捉えることができる方はたくさんいらっしゃると思います。

なお、WinActorは視覚的・直感的に操作できるので、みなさんすぐに使いこなせるようになります。そのようなことを言っても、“宣伝文句だけでは信用できない”という方もいらっしゃると思いますので、ぜひ無料のハンズオンセミナーなどに参加して実体験してみることをお勧めします。それでも不安だという場合は、弊社においてもご担当者様向けのトレーニングやサポートも提供しておりますので、お気軽にご相談いただければと思います。

一方、技術的な面よりも、「業務を正しく理解・分析できる」かどうかがとても重要な要素となります。念のため補足をしておくと、「実際に作業を担当されている方」、もしくは「業務手順を知っている方」という意味ではありません。

もう少し具体的に説明すると、「業務フローをイメージ(書き起こすことが)できる方」、「(各業務の実務担当者様へ)ヒアリングをして、フローをイメージ(書き起こすことが)できる方」となります。さらに欲を言えば、「業務フローを見て、フローの改善点を分析できる方」、そして「業務改善の経験や日頃から業務改善の意識が高い方」となります。

なぜ、そのような人材がRPAの導入担当者に向いていると考えるのか。その答えは、コラムの後編でご説明したいと思います。さらに後編では、ユーザー部門が主導でRPAを導入する際のリスクとその解消方法についても考えてみたいと思います。

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